プレス・ブリーフィング(報告)

一覧に戻る

実施日 : 2015年03月17日

報告(プレス・ブリーフィング):「航空元年:本格始動する日本の航空機産業」(2015年3月17日)

投稿日 : 2015年03月23日

DSC01307ホンダの小型のビジネス機「ホンダジェット」や、三菱航空機の国産小型ジェット旅客機「MRJ」の開発が進む中、東京大学大学院工学研究科航空宇宙工学専攻の鈴木真二教授をお招きし、日本の航空機産業の現状や今後の可能性についてお話し頂きました。中国、フランス、ドイツ、韓国、米国、英国のメディアの記者10名、駐日大使館員6名を含む計29名が参加しました。

 

鈴木教授は、日本の航空機産業の売上について、近年は民間需要が増加しているものの、その殆どはボーイング等外国産の航空機の部品製造であり、米国、英国、フランス等と比べ、対GDP比は非常に低いと説明しました。加えて、1)防衛省が持つ2つの機体(C-2輸送機、P-1対潜哨戒機)の同時開発、2)高い定時到着率を誇る主要エアラインの存在、3)機体の先端素材であるカーボン繊維の70%は日本企業が製造していること、4)航空科学分野の学生の優秀さなどが示すように、航空分野における日本のポテンシャルは非常に大きいにも関わらず、航空産業規模は小さいと指摘。その理由として、1)製造業と航空会社との間に直接の関係がなかった、2) 航空行政が国交省、経産省、文科省等複数に分かれているなどの点を挙げました。

 

その上で、鈴木教授は、世界の航空機ビジネス市場は大きく、成長を続けており、その市場を取り込もうとMRJの開発が始まったと説明。その特徴を紹介した上で、MRJの開発を通して行政、企業、研究機関等の間に強いパートナーシップが生まれていると指摘。今後、米国のSkyWestのような地域航空ネットワークが日本でも構築されれば、地域経済の活性化の効果も期待されると述べました。

 

最後に、鈴木教授は、「空の利用の新たな夜明け」とも言えるとして、無人飛行システムの開発・利用にも言及。日本が農業における無人機利用で世界トップである点や、無人機を使ってゴルフ場でAEDを運ぶ自らの研究などを紹介した上で、今後の活用が期待される中、如何に無人機を安全に運用するかの検討を開始したと現状を説明しました。質疑応答では、ドイツの経済記者等から、日本の航空機関連企業のグローバル市場での競争力や、航空機産業の研究開発における国際協力の現状、地域間の航空ネットワーク構築による地方空港の活性化の可能性に関する質問が寄せられました。

FPCJとは
取材協力
取材に役立つ情報
活動の記録
外国への情報発信