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Japan Brief
◎ G-8サミット「温室効果ガス半減検討」で合意
[国際] 2007年6月11日
ドイツのハイリゲンダムで開かれた今年の主要8カ国首脳会議(G-8サミット)は、「2050年までに温室効果ガスの排出を半減させるという提案を真剣に検討する」ことなどを含む議長総括を発表して6月8日閉幕した。G-8サミットで排出削減の数値目標が示唆されたのはこれが初めてのことで、一つの大きな前進であると評価されている。
世界の先進民主国8カ国の首脳が集まって開かれたサミットは、このほかに北朝鮮にすべての核兵器、弾道ミサイル計画の廃棄を要求し、拉致問題の解決を含め人道上の懸念に対応するよう求め、イランにウラン濃縮活動問題で責任ある対応を求めた。経済問題では、主要問題について新興国との定期協議を開始することで合意、また、すべてのWTO加盟国の貿易相に数週間以内にその合意に向けた土台の形成を求めた。
しかしハイリゲンダムサミットの何よりも大きな課題は、気候変動だった。温室効果ガスの削減に取り組むことについてなんらかの合意を打ち出せるかどうかにサミットの成否がかかり、それは開催国ドイツのメルケル首相にとって至上命令であった。最大の問題は全世界の二酸化炭素排出量の4分の1を占める米国が、数値目標を設定した排出削減の国際的努力に加わるかどうかだった。
結局、宣言に盛り込まれたように、ブッシュ米国大統領は「2050年までに温室効果ガスの排出を半減させるという欧州連合、カナダ、日本の提案を真剣に検討する」ことに同意した。このことに関して安倍晋三首相は「2050年までに温室効果ガスを半減させるという自分の提案が評価された結果だ」と嬉しそうに語った。安倍首相は、いかなる数値目標も拒否するという米国と、2020年までに1990年比で排出量を半減させる目標を掲げている欧州連合との間の一見埋めることのできないような溝を橋渡しする役割を果たしたと見られている。
成功とみなされているとは言え、サミットの議長総括は目標をどう達成するのかについてはあいまいであり、その成否は今後主要排出国がどのような駆け引きをするかにかかっているわけで、ぼんやりした方向を指し示したに過ぎない。排出量削減の基準年をいつにするのか、国別の削減量を定めるか否か、などははっきりしていない。
来年2008年のサミット開催国である日本は、このようなあいまいで、あやふやな合意を具体化し、はっきりした形を与えることで一歩前進させるという重い責任を負うことになり、安倍首相の政治的手腕と指導力が問われることになると見られている。政府は来年のサミットを北海道の洞爺湖町で開催することを決めたばかりである。
◆合意は画期的な出来事と評価
G-8サミットについて日本の主要紙は、これを地球温暖化問題に関する国際社会の動きにおける画期的な出来事としてこぞって評価した。これらの論評はまた、日本がこの問題で世界を主導するつもりなら、温室効果ガスの削減で他の諸国よりも多くを達成する必要があると指摘した(主要紙の社説はいずれも6月9日付の紙面に掲載された。)
朝日新聞は「主要国の首脳が、これまでとは質の異なる安全保障の重要性を認め、緊急に協調行動をとることで一致した。今後の地球規模の取り組みの土台となる合意であり、高く評価したい」とし、特に米国を引き戻し、とりあえず合意に書き込んだ意義は大きいと論じた。同紙はもう一つの方向としてサミット宣言が国連の役割を強調したことを指摘した。また、日本の提案が全体の流れを作ることに貢献したと評価した。
毎日新聞の社説は「『妥協』の産物とはいえ、一歩前進ではある」という書き出しで始まっている。そして「今回、米国を含めた合意ができたことで、ポスト京都への足がかりがなんとかできたことになる」と論じ、「難しい国際交渉が予想されるが、ポスト京都の合意作りには限られた時間しか残されていない。それぞれの会議でサミットの合意を一歩ずつ進めるために、日本も覚悟を新たにすべきだ」と主張した。
読売新聞は「温暖化対策 G8合意をどう具体化するか」と題する社説で、世界が一体となった地球温暖化対策の実現に向け何とかスタートラインに立ったが、「いつの時点を基準に、排出量を『2050年までに半減』させるかは、明示されなかった」と指摘、「米国や中国を引き込むため、基準年を明示しない曖昧(あいまい)な内容にしたのも、やむを得まい」と論じた。そして「来年の北海道・洞爺湖サミットでも温暖化問題が主要議題になるのは確実だ。議長国の日本は重い責任を担った」と論評した。
日本経済新聞は、米国をポスト京都議定書に関する「国際的協議に積極的に復帰させた政治的、歴史的意義は大きい」と指摘、メルケル・ドイツ首相の熱意と手腕を高く評価した。同紙は地球温暖化問題が、政治ではなく経済、負担や重荷ではなく新たな経済発展のチャンスというとらえ方が世界に広がっていることに歓迎の意を表した。そして日本は、「国別総量規制は省エネが進んでエネルギー効率が高い日本には不利、どんな形でも国の規制強化につながるキャップの導入には反対。国際社会では全く相手にされない、こんな後ろ向きの議論とはそろそろ決別」しなければならないと主張し、さもなければ、「北海道洞爺湖サミットの成功は危うい」と警告した。
産経新聞は「安倍首相が今回の合意に向けて示した戦略的努力は、正当に評価されるべきだろう。地球規模の問題で、日本がこれほどイニシアチブを発揮し、成功した例は多くない」と論じた。
(了)